民主党を支持しない理由を書いてみる 経済編

花巻東夏の甲子園で、岩手勢として90年ぶり(大正時代いらいww)のベスト4進出で、非常に嬉しい今日この頃、皆様如何御過ごしでしょうか?今日はしがない爺です。


今まで民主党支持者だった俺が、今回ばかりは自民党を支持する理由を書いてみる。
きっと自民党は大敗するだろうけど、まぁ書いとく意味はあるだろう、ってことで。


追記:書き始めて4日かかって書き終わりました・・・。長かった。そして文量も非常に多い。
でも書き切ったので後悔はしていない。どうか皆様が最後まで読んでくれることを願います。。。


いちおう断っておくと、自民党支持のバイアスかかった文章なので、見たくない人は閉じようね。


何で民主党が支持できないかと言えば、経済政策が最悪だから。
民主党が政権とって、今のままで公約実行を始めたら100%経済は回復しないと断言できるからなんです。
100%というのは誇張ではなく、現在の政策をそのまま実行したならば、
非常に幸運で奇跡が起きたとしても現状維持、まず間違いなく景気後退になる、という意味である。


何故か?
理由は簡単で、今ある予算を組み替えただけではキャッシュフローGDP)が増えないからである。
フローが増えないと景気回復しない理由は後述するとして、
そもそも世界同時不況とは何が起こったのか?
日本の長期低迷は何故起こったのか?
それにより現在の日本の経済状況はどうなのか?
そして最後に何故民主党の政策では景気回復せずに、自民党の政策では景気回復するのか?
を書いていきたいと思う。
なお、これは三橋貴明の著書「ジパング再来」という本を元に書いているので、詳しく知りたい人は是非読んでみることをお勧めする。
今まで読んできた本の中で、一番経済のことが分かりやすい本だと思う。
あと、三橋貴明氏のブログも非常に読み応えあり。てか元ネタは全て三橋氏の著作とブログからですのでwww
三橋貴明氏のブログ → 新世紀のビッグブラザーへ


さて、本題。

世界同時不況とは何が起こったのか?

現在、地球上の実体資産を合算すると5000兆円程度あるそうだが、2007年末の段階で売買された金融派生商品の残高は6京円まで膨れていた。
実に、地球上のあらゆる資産を10回以上買える金額が金融派生商品として市場に出回っていたのである。

金融派生商品デリバティブ)とは伝統的な金融取引(借入、預金、債券売買、外国為替、株式売買等)や実物商品・債権取引の相場変動によるリスクを回避するために開発された金融商品の総称である。英語のDerivativesに忠実に、「デリバティブズ」と呼ばれることもある。

この多額の金融派生商品を生み出していった原動力が「レバレッジ」と呼ばれる投資手法である。
レバレッジは直訳すると「梃子(てこ)」の意味だが、その実体は借金である。
つまり、負債を自己資本の何倍までも増やして投資することで、自己資本に対しての利益率を上げる手法のことである。
これによって自己資本だけでは運用できないような巨額な資金を運用し、大量の金融商品を購入するのである。
この結果、帳簿上には資産としての金融商品が計上され、それとほぼ同額の負債が計上されたことになる。


このままでは世界は平和なままだった。金融商品がしっかりと債権として履行されれば、負債を全額返済しても利子分だけ儲かるはずだった。
しかし実体は違ったのである。何が違ったのか?
金融商品の中身に、債務不履行(返済されない)となる可能性が非常に高いサブプライムローン債権が大量に含まれていたからである。

サブプライムローン(米:subprime lending)とは、主にアメリカ合衆国において貸し付けられたローンのうち、サブプライム層(優良顧客(プライム層)ではない。クレジットスコアにより判定)向けでないものをいう。

報道機関ではしばしば低所得者向けローンとの説明がされ、低所得者に多額の貸し付けを行ったというニュアンスで取り上げられるが、厳密には通常の住宅ローンの審査には通らないような信用度の低い人向けのローンである。信用力の評価基準は所得の多寡のみではない。狭義には、住宅を担保とする住宅ローンに限定され、広義には、自動車担保など住宅以外を担保とするものを含む。一般的に他のローンと比べて債務履行の信頼度が低い。

問題の発端は、このサブプライムローン債権が大量に含まれていることが「後から」判明したことだった。
返済面での信用度が低いサブプライムローンは当然のごとく徐々に延滞率が上昇し、それにより格付け会社はしぶしぶこれらの含まれる金融商品の格下げを行った。
これが金融危機の引き金となったのである。


格下げされた金融商品は市場での価格が下落した。
資産である金融商品が評価損となり、それがさらに利益確定や売り抜けを誘発して価格の下落を加速した。
これにより、資産である金融商品は大きく減額したにもかかわらず、巨額の負債だけはしっかりと残ったのである。
これが世に言われるリーマン・ショックなどの金融危機である。
この金融危機によりアメリカの5大投資銀行(日本の証券会社に近い)は全て消滅することとなる。
ゴールドマン・サックスモルガン・スタンレーリーマン・ブラザーズメリルリンチベアー・スターンズである。
ベアースターンズは救済買収され、
リーマン・ブラザーズは破綻、
メリルリンチも救済買収、
ゴールドマン・サックスモルガン・スタンレーは銀行持ち株会社化することで一般と銀行と同じ扱いになりアメリカ政府の救済を受けたのである。


しかしこの金融危機は世界同時不況の幕開けに過ぎなかった。
上記の例もあるように、アメリカの5大投資銀行ですら破綻・買収・政府救済と雪崩のごとく崩壊した。
IMFの試算によると、これにより生まれた不良債権推定値はアメリカで焼く260兆円、欧州で115兆円、日本は14兆円と言われている。
アメリカ・欧州・日本だけで約400兆円もの資産が消滅したのである。
(ちなみに日本での90年代のバブルで発生した不良債権は最大で43.2兆円であった。世界同時不況の凄さが良く分かる。)
IMF不良債権推定値を過小評価することで有名らしいし、不良債権処理が遅れるほど負債が増加する可能性があるので、
 今後はさらに金額が増える可能性もある。)
さらにこれに実態が明らかになっていない巨大な経済国であるBRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)や他の国々を合わせると、最終的にどのぐらい巨大な金額が消滅したかは予想が付くだろう。

次の話をする前に、日本のGDP(支出により流通するお金の総量)を構成する3大支出がどんなものであるか確認しよう。

  1. 家計の支出(GDPのおよそ55%)
  2. 政府の支出(GDPのおよそ25%)
  3. 民間企業の設備投資(GDPのおよそ15%)

その他として、民間住宅投資(住宅ローンなど)がおよそ5%程度、
そして驚きの事実としては、純輸出(輸出総額−輸入総額)と呼ばれる「いわゆる外需」は2%未満なのである。
(これを知ったときは非常に驚いた。日本が外需依存の国だなんて何処の誰が言い出したんだ?)
さて、これは多くの先進国でも似たようなバランスとなっている。
ただし政府支出と民間設備投資は入れ替わる可能性がある。
不景気の際は、政府支出を増やしてGDPの下支えをするが、
好景気の際は、民間設備投資が増加するので政府支出は絞られる。
※日本の政府の支出の内訳として、公共事業とその他の政府支出に分けられ、比率は1:3となっている。

この巨額の負債を消化するために各国では民間企業設備投資が激減し、、家計の支出はローン返済と貯蓄に回る。
すなわちGDPを形成する2大項目が、絞り込まれる。これではGDPが大きく減ってしまい経済が回らなくなる。
簡単にまとめると、
負債が多いから企業も家計も返済を加速する→消費が減るから需要が減る→需要が減れば物が売れない→
物が売れないと企業が儲からないし家計の収入も減る→収入が減るから消費が減り、結果的に更に需要が減る。
というサイクルが世界中で同時に起こり、さらに負のスパイラルが加速しているのである。


この状況で有効な対策は政府の支出を増やすしかない。
民主主義の国では企業や家計に支出を増やすよう命令できないので、政府支出を増やして経済を刺激するしか方法は無いのである。
ちなみに中国は民主主義ではないので、政府が銀行に貸し出しを増やせと命令した。
これにより中国では市場にお金が溢れたが、借り手が居ないため株式市場と不動産に資金が流れ、プチバブルが形成された。
しかしそのプチバブルも、今月には弾けて再び株価と不動産価格の暴落を起こしている。残念。


さらに補足すると、不況下では政府支出で下支えせざるを得ないと同時に、下支えしやすいという要因も絡んでいる。
STEP① 企業や家計が支出を減らすと、必然的に銀行に貯蓄が増える。
STEP② 銀行は預金に対して利子をつける必要があるが、不況下では誰も借り手が居ないため金利が下がる。
STEP③ 金利が下がるうえに、誰も借り手が居ないので、国債を買うしかなくなる。
STEP④ 金利が低いうえに、銀行も積極的に国債を買うので、政府の資金調達が簡単になり公共事業等での景気刺激が容易になる。
という流れだ。


まさにこれは日本で土地バブルが弾けたときに政府が行った方法であるが、今は世界中がそれを同時に行っている。
アメリカは毎週数兆円という規模で国債を発行し景気対策を行っている。
イギリスもすでに300兆円近い国債を発行し景気対策を行っている。
これが世界で起こっていることである。

日本の長期低迷は何故起こったのか?

非常に長くなっているが、お付き合い願いたい。
さて、ちょっと過去のことに目を移してバブル崩壊後の日本で起きた長期の経済低迷の原因を見てみよう。


日本は90年代のバブル崩壊により約43兆円の不良債権を抱えた。
その不良債権処理のために企業は支出を減らし、内需は減少することとなる。
その影響は徐々に家計に現れ(失業や倒産、給与の減少など)、結果として家計も支出を引き締め貯蓄に回した。


上記の内容に1つ誤りがあるのを気付いている方は居るだろうか?
じつは家計の支出は減少していないのである。
これは私自身も非常に驚いたが、一方で冷静に考えてみるとある程度納得も出来た。
私と同年代の人は冷静に思い出して欲しい。
音楽分野では小室哲也やにつんく♂、ゲーム業界はスパーファミコンにPSやPS2
ポケベルに始まりPHSや携帯電話の普及、そしてWindowsによるパソコンブームとインターネット時代の到来。
コギャルやルーズソックスからガングロが生まれ女子高校生が時代の経済をリードした時代。
文字面だけ書くとまるで不景気とは思えない、非常に旺盛な家計の支出が行われ続けたのである。
しかも不良債権を処理しながら。


私事になるが、我が家の自営業も93年に倒産して一時的に困窮したが、
再就職で家計が安定してからは、金持ちとは言えないが切実に生活できないほどの状況も無く、
大きな贅沢は無いがきちんと生活できてきた。


では何故、世間と言われるものは不況だったのか?
原因の1つは民間企業の設備投資の激減である。
バブル崩壊後、計上された多額の負債総額を恐れた企業は投資を減らし借金返済を行った。
結果として、企業の資産は100兆円増加し、同時に負債が100兆円程度減ったのである。
すなわち企業の純資産が200兆円も増えたのである。
これはGDPが200兆円も減ったことを意味しており、1991年(バブル崩壊の年であり民間企業の設備投資が過去最高となった年でもある。)と比べて毎年平均16兆円を超える額がGDPから失われていたことを意味する。
これは脅威的な数字である。
前の節で、今回の金融危機で日本では不良債権が14兆円生まれたと書いたが、それを上回る金額が毎年GDPから失われていたのである。
企業の純資産が200兆円も増えることは一見良いように見えるが、実際はそれほど良いことではない。
企業はリスクをとって負債を抱えながらも設備投資や雇用を生み出すことでGDPを増やし家計を潤すことで、結果的に成長が可能なのであって、それを減らされては経済が低迷するのも当然である。


再度この間の家計の状況を見てみると、驚くべきことに消費も資産(貯蓄・株・不動産など)も順調に増やしているのである。
微々たる増加ではあるが、日本人の家計は一度も減らすことなく消費も資産も増加させている。
繰り返しになるが、企業支出の減少に比べれば驚くべきことでありながらも、
確かに実感としては強烈な不景気圧力というものはなかったように感じる。


簡単にまとめるとこうなる。
1991年のバブル崩壊以降、毎年平均16兆円も民家企業設備投資が減少しながらも、GDP全体は増加を続けた。
しかし状況は1997年以降から変化し、名目GDPの成長率は事実上のゼロ成長となるのである。
この年に何があったのか?


答えは1998年と2002年に公共投資が削減され、民間企業設備投資の減少分をカバーできなかったのである。
この2つの年に何があったのかを記憶している人は少ないかもしれない。
1998年は第2次橋本内閣で、2002年は第1次小泉内閣である。


1998年から見ていこう。
1998年の第2次橋本内閣は以下のことを行った。

1998年11月に財政構造改革法を成立させ、2003年までの赤字国債発行を毎年度削減する等の財政再建路線をとった。しかし、景気減速が顕著となり北海道拓殖銀行山一證券などの破綻が起こると、党内やアメリカ政府から景気対策を求める声が上がるようになった。また、山一證券の破綻で、橋本の金融システム改革に伴う金融ビッグバンへの批判が相次いだ。これを受け同年12月、2兆円の特別減税を表明した。
wikipediaより

つまり、赤字国債を減らした分だけGDPが減り、またバブル崩壊後に何とか持ちこたえていた景気が減速したのである。
それを受け特別減税を行い、また翌年の小渕内閣でも政府支出を増加させたことにより、GDPの減少は押しとどめられることとなる。


次に2002年の第1次小泉内閣を見ていこう。
橋本内閣以降、小渕内閣森内閣と押し止められていたGDPが2003年に再び減少方向へ転じた。
ご存知のように竹中平蔵氏が金融担当大臣、経済財政政策担当大臣となり政府支出が減少。
結果として、GDPも大きく減少方向へと舵を切り、2007年に小泉内閣が終了し増加方向へと転じるまで、GDPの減少は続くこととなる。


これらのことから、1991年のバブル崩壊後の日本経済で明らかなことは以下の点である。

  1. 家計の消費と資産は一貫して微増してきた
  2. 民間企業の設備投資は毎年平均16兆円を超える規模で減り続けた(トータルで200兆円規模)
  3. 1998年まで僅かではあるが増加していたGDPは、政府支出の削減により減少方向へと転じた(政府支出増加により99年にはGDPを戻す)
  4. 2002年以降の財政再建路線での政府支出減少により、再びGDPは減少する(その後、経済対策で赤字国債を発行し持ち直す)

結論としてGDPの伸び悩みが、つまりは政府支出の減少が長期低迷の原因であると言える。
※ここでの財政支出の増加とは赤字国債発行と認識してもらって問題無い。赤字国債発行のメリット・デメリットは後述する。

それにより現在の日本の経済状況はどうなのか?

まだまだ続きますが、根気よく読んでね。書く方はそれ以上の時間をかけて書いてますから。


さて、現在の日本の経済状況はどうなのだろうか?
これを見るには、ストックとフローの2つの観点から見る必要がある。
ストックとは資産のことであり、フローとはお金の流通のことである。


まず資産面から見ていこう。
日本はストックが世界一の超がつくほどの健全国家なのである。
家計で言えば、資産1433.5兆円−負債375.4兆円=純資産1058.1兆円である。
日本の家庭には1058.1兆円もの純粋な資産を持っているのである。
さらに、資産1433.5兆円のうち55.2%が現金・預金で占められており、792兆円を保有する。
この約800兆円の現預金は世界最大である。
何故現預金が重要であるかというと、株式や不動産と比べて流動性が高い(つまり直ぐ使える)からである。
アメリカの家計は日本よりも資産が多いがそのうち32%が株式である。
株式や不動産は、資産として活用するためには現金化する必要が有るが、現状ほど株価や不動産価格が下落している状況下で売却し現金化することはリスクが高すぎる。
仮に売却しようとしても、これほど大量の資産を現金化すると市場の暴落として反映され資産価値は大きく損なわれるだろう。
つまりアメリカの家計はどんなに家計が苦しくても、売れば資産が目減りしてしまうジレンマを抱えているのである。
(ちなみにアメリカの家計の不動産価値は、2006年のピークに比べて2008年末では約346兆円も目減りしているし、
 株式資産は2007年第2四半期をピークに2008年末には400兆円強ほど目減りした。)


ストック面の続きを見ていこう。
前の節でも述べたように、民間企業のストックは1991年に比べて200兆円増えた。

では政府の財政はどうなのだろうか?
これは507.3兆円の赤字である。つまり負債が507.3兆円多いと言うことだ。
あれ?これは不味いのではと思った人への解説は後ほど書くのでここでは現状認識だけしてもらえればOK。


その他もろもろを合算すると、日本の純資産合計は243.5兆円の黒字である。


次にフローの面を見ていこう。
前の節で書いたように、日本の経済は長期低迷している。
そしてその理由は企業の設備投資が低迷しているからである。
企業の設備投資を控える動きが、フローを直接圧迫している1つの原因である。
またもう1つの大きな原因は、1998年まで政府支出により下支えしていた経済が、政府支出が削減により圧迫されているからである。
これら2つの圧迫要因により停滞していると断言しても差し支えない。


もう少し政府支出の重要性を掘り下げてみよう。
バブル崩壊後の日本が選択できる方向性は3つあった。

  1. 政府の負債が増える
  2. 民間企業の負債が増える
  3. GDPが数十%減る

この1〜3のうち、日本が取り得る現実的な選択肢はどれだったのであろうか?
2の「民間企業の負債が増える」は選択したくてもできなかった。
なぜなら日本は政府が企業に「負債返済をせずに積極的に投資し続けろ」と強制する権限は持っていないからである。
となると選択できるのは1か3である。
3を選択する場合は、GDPが数十%減ることになり、結果として国民の所得が数十%減少することを覚悟しなければならない。
GDP減少額=国民所得減少額にはならないが、同程度の比率で減少すると推察できる。
 GDPとはフロー(支出)の総額であり、支出が減るということは収入が減るということに直結するからである。)
結局より現実的な選択として、政府の負債を増やし、GDP水準を維持して、経済を支えたのである。


一方で家計の支出はどうなのだろうか?
これも前節で触れたように、日本の家計は奇跡的とも言える傾向をしめし、
バブル崩壊後も僅かながらではあるが順調にフローとストックを増加させていった。


これをまとめると以下のように言うことが出来る。

  1. 家計の状態はおおむね健康である
  2. 政府支出が減少するとGDPは圧迫されて家計にも皺寄せが来る
  3. 民間企業は健全であるが、リスクを避けて設備投資を控えておりGDPが圧迫されている


そんななか、2008年に誕生した麻生内閣の政策により久々に40兆円の赤字国債発行を行い、経済対策を行った。
結果は以下のニュースが表している。
GDP年率3・7%増 4〜6月 5四半期ぶりプラス 8月18日7時56分配信 産経新聞
GDPの年率換算で3.7%の伸び率という驚異的な回復傾向である。これは世界的に見ても異例中の異例である。
何故このようなことが可能だったのだろうか?
理由は簡単で、世界同時不況により輸出関係でダメージを受けたが、金融危機による被害はそれほど大きくなかったからである。
金融危機が直撃したアメリカや欧州ではかなりの数の銀行が倒産したり国営化されたり公的資金投入を受けているが、
日本では1つたりとも銀行は倒産や公的資金注入が必要無かった事からも、被害の少なさをお分かりいただけると思う。
バブル崩壊による不良債権が43.2兆円だったのに対して、今回は14兆円で済んだからである)
さらに製造業の在庫調整も一段落したことにより、製造業も底辺を抜け切った。
これは鉱工業生産指数が3月から回復傾向だったことからも伺える。鉱工業生産指数は経済状況の先行指数であり、上昇している局面でGDPが低下するわけがないのである。
また日本企業の追い風(超微風ではあるが)となっているのは、実は世界各国の経済対策の効果でもある。
米新車購入助成、24日で終了=開始1カ月で予算払底
カローラがトップ=米政府の買い替え助成適用
アメリカは低燃費車への買い替えに補助を支給する新車購入助成制度を行い、30億ドルの予算を執行した。
この経済対策により、買い替え助成制度を使った新車販売で、トヨタ自動車の「カローラ」が台数トップに立ったのである。
また、3位はホンダの「シビック」。5位までにトヨタハイブリッド車プリウス」、「カムリ」が入り、日本車が上位を占めた。
この制度による新車販売台数は45万7000台超と言われており、そのなかで日本車が上位を占めたのである。


繰り返しになるが、日本経済は相当健全であるが、世界需要の減少により一時的にダメージを受けた。
しかしそのダメージも回復傾向にあるの。
こういった流れから見ても、日本はこの方向性で継続的に経済対策を行っていけば景気回復する見通しは立っていると言って良いのではないだろうか?

赤字国債のメリット・デメリット

さて、引っ張りに引っ張った赤字国債のメリット・デメリットの話をしよう。
日本の国債は、対外債務と国内向け債務に分けられる。
対外債務とは外国通貨建て(主にドル)債務のことであり、国内向け債務は円建て国債である。


対外債務は負債全体の5%であるが、日本国家全体で見ると他国への貸付が対外債務を上回っているため、
実質は債務が無いのと同義である。
日本はアメリカのドル建て国債を大量に保有しているため、対外債務の支払いには有り余るほどであり、
世界最大の対外純債権国(つまり世界に一番お金を貸している国:世界への貸し付け−借り入れ、が黒字である)となっている。


一方で国内向けの円建て国債は、日本政府の負債の95%を占めている。
円建て国債とは、国内の債権者からの借り入れである。つまり日本国民は日本政府にお金を貸している立場なのである。ここ重要。


さて、日本には日本経済破綻論を唱える人が多数居るが、それは99%ありえないと断言できる。
なぜなら日本政府の負債の95%は円建て国債であり、返済には日本円が使われる。
そして日本政府は、日本円という通貨の発行権を持っているのである。この状態で返済が不可能になる訳が無い。
(厳密には発行するのは日本銀行であるが、機能的にはある程度同一視しても問題ない。細かい説明は後ほどする)
ここで認識しておかなければならないのは、
赤字国債=日本国民の借金(債務)、という図式は完全に間違っていると言うことと、
円建て国債がいくら増加しようとも、日本が財政破綻することは無いと言うことである。


夕張市財政破綻したではないか!!という人も居るかも知れないが、そもそも夕張市は日本円の発行権が無いため、
日本政府と同一線上で考えることじたいナンセンスなのだ。


さていよいよ国債発行のメリット・デメリットの話をしよう。
国債が発行できるということは、市場で誰かが国債を買うということである。
日本の場合はその多くが銀行であり、銀行が原資としているのは預金である。
(このことも国債が日本国民の借金ではないことを示している)


国債を発行すると以下のような現象が起きます。

  1. 政府の使えるお金が増える
  2. 長期金利が上昇する可能性がある
  3. インフレ方向に誘導される可能性がある
  4. 円安になる可能性がある

1は自明のことと思います。
2は国債が大量に出回ると需要が下がり価値が下落するため、国債金利引き上げなどで付加価値を上げることにより発生します。
3と4は、日本銀行が引き受ける国債の量が増えるため日本円の流通量が増えることで、相対的に発生する可能性があります。


このような現象はメリット・デメリットのどちらなのでしょうか?
日本の現状と比較してみると明らかになります。
現在、日本政府は世界同時不況により税収が減少しており利用可能な資金が増えることはメリットです。
また不況下により民間設備投資が低いため、GDPの下支えを政府支出により行う必要があり資金を必要としています。
次に長期金利ですが、現在はゼロ金利政策により金利が非常に少ないですが、金利上昇圧力は預金者にとってはメリットです。
一方で、住宅ローンなどは金利が上昇すると支払いが増えるので、金利が低い今こそローンを組むべき時かも知れません。
インフレ圧力がかかることは、デフレ経済が進行している日本経済ではメリットです。
一説にはバブル崩壊以後、日本では100万円所得が減ったと言われますが、それと同じぐらいの規模でデフレが進んでいるとも言われます。
インフレ方向へ誘導されると、ゆっくりとではありますが家計の収入(給与など)も増加します。そして平行して支出も増加します。
結果としてGDPも回復傾向を見せるでしょう。
円安傾向は、現在の日本の輸出企業にとって大歓迎でしょう。またこれによりドル安も多少は解消され、貿易摩擦が減少します。


しかし一点だけ注意する可能性があるとしたら、それは流通量が増えた日本円が正常な経済サイクルに乗らずに、
株式や不動産などに流れてバブル化する可能性があるということです。
現に中国では2008年末からの経済対策により金余りが発生し、内需が不十分なまま株式と不動産へ資金が流入しバブルとなりました。
そのバブルはつい先ごろ破裂し、中国の株式市場は再び暴落したのです。
しかしそれは中国という外需依存の国だから起こった現象とも言えます。
先述したように、日本はGDPの外需依存度が低く、大量の内需によって経済が支えられています。
公共投資をインフラなどの方向へしっかりと振り向けていけば、中国と同じような現象は抑えられるでしょう。


さて、話が一段楽したところで、何故、日本政府は国債返済に困ることが無いのか?の説明に移りましょう。
先ほども書いたように理論的には、日本円の発行権を持っているので返済には困りません。
厳密には、日本円は日本銀行券となっており、日本銀行が発行しています。
そして日本銀行は通常業務として、国債の回収を行っているのです。
正確には国債を担保として銀行へ貸付けを行っていることになっていますが、これは事実上の国債買取になるわけです。
これにより市場にはより日本円が流通し、インフレ抑制・金利上昇抑制・円安誘導・国債需要の増加の効果があるわけです。
つまるところ、経済対策としての政府の国債発行と日銀の国債買い取りは相殺関係にあるわけです。
さらにいよいよ日本政府の国債返済が追いつかなくなれば、日銀が直接政府から国債を買い取る必殺技があります。
この状況下で日本政府が国債返済に困るという状況は起きるわけが無いのです。
もっとも、日銀が国債を直接買い取りしなくても、日本には家計の1000兆円を超える資産があり、
不況下では有効な運用先も無いために、銀行による日本国債需要はかなり高いレベルであるといえます。


前述したように日本は金融危機でも大きなダメージも受けず、
そして国内には家計が世界最大の資産を有し、国債需要も十二分にあります。
これらの要因から日本国債は世界で一番価値の高い=金利の低い国債であります。
国債金利が低いということは、高い利子を付けなくても貸し手が沢山居る状況というわけです。


また外国でも日本同様の政策がとられています。
アメリカは2009年4月以降、毎週数兆円のペースで国債を発行し、財政支出や金融機関への公的資金投入を行っており、
それと平行してFRB連邦準備銀行日本銀行に相当する)が国債の買い取りを促進して、流通通貨量の安定と金利上昇を抑えているわけです。


さらに補足事項として日本経済が99%破綻しない理由を上げるとすれば、
世界で一番最後に破綻するのが日本であるからです。
世界において、政府が破綻した国とは戦争や内戦などの一部の理由を除いて、
「政府が海外から外貨建てで借りていたお金が返済できない」という状況で発生します。
しかし、先ほども書いたように日本は世界で一番海外にお金を貸している国です(562.8兆円)。
そして1,022,657百万ドルもの外貨準備高を持っているのです。
これら全てを使い切るほど海外に外貨建て国債を発行すれば破綻する可能性もありますが、
残念なことに日本の国債はその95%が国内で消化されており、
さきほど説明したように、日本政府が国内向けの円建て国債を返済できない可能性はありません。


例外として想定されるのは、日本が資金を貸し付けている国が次々と破綻し、
日本の海外への貸付が全て紙屑と化した上で、日本国内の1000兆円を越える純資産を全て使い切ってから、
やっと破綻する可能性が出てくる・・・そんな程度の完全に夢物語の世界なのである。

何故民主党の政策では景気回復せずに、自民党の政策では景気回復するのか?

さてやっと本当の本題に入れる。


ここまで読んでもらった人なら分かるかも知れないが、理由は至極単純で、
民主党国債を発行しないと言っているから景気回復はありえないのである。

新規国債「増やさない」=民主・鳩山代表 記事はコチラ
8月23日12時13分配信 時事通信

 民主党鳩山由紀夫代表は23日午前、テレビ朝日の報道番組に出演し、政権を獲得した場合の来年度の国債発行額について「(今年度より)増やさない。増やしたら国家が持たない」と述べ、縮減に努める考えを示した。
 鳩山氏は「(国債発行額を)増やしておきながらこの程度の経済で、GDP国内総生産)が戻ったと喜べる話ではまるでない」と述べ、政府の国債増発が景気回復につながっていないと指摘。
 その上で「われわれとすれば(予算の)使い方をもっと正しい方向に変えていく。暮らしを良くるすることで景気を導くという発想に変えることで、借金を増やさないで済む」と強調した。

民間の設備投資も冷え込み家計の支出も絞られている現状で、政府支出の増加なくしてGDPの下支えは100%無理なのである。
GDPが減少するということは、日本中で売り買いが減少することを意味する。
誰も支出をしなければ、誰も売り上げが上がらないのである。至極単純な当然のことである。
GDP減少→需要減少→経済停滞→収入減少→需要減少→経済停滞→収入減少・・・・・の繰り返しである。


民主党の目玉政策である子供手当ても経済への寄与率は低いと思われる。
家計に直接配布しても、その一部は確実に貯蓄に回り支出は思ったより増加しないだろう。
何よりも、直接配布では経済効率が悪いのである。
簡単な例え話で恐縮だが、失業者に直接お金を配っても、雇用は生まれないのと同じである。


直接配布という意味では、子供手当ては定額給付金に似ているが、これはあくまでも一時的なカンフル剤にしかならない。
それを後からフォローするような経済対策が無ければ、経済は活性化しないのである。


その点では公共事業は効果的である。
インフラという資産を生みだすとともに、それによる雇用や消費財の購入が大規模に発生する。
リニア新幹線を引けば、おそらく4年は給料をもらえる人が大量に生まれるわけである。
ましてや今回の公共工事は、学校の耐震化や電線の地中化、高度経済成長期に作られた公共インフラの老朽化対策など、
十二分に将来への投資となりうる内容となっている。


また、民主党政策の「公務員の2割削減」も愚策である。
まず日本の国家公務員がどれほど少ないかを理解していない。
2000年に113万人だった国家公務員定数は、2009年には59万人まで減少しているのである。
これ以上減らしてどうやってサービスの質を維持するつもりなのだろう?
日本は世界的に見ても、小さな政府の筆頭であり、GDP比率で見ても非常に効率化された国家公務員機構となっているのに・・・。
また2割減らすということは、2割の家計の収入をゼロにすることであり民間へのコストの押し付けに他ならない。
政府支出は減りましたが、その分を民間に押し付けました、と言うつもりか?
そして最終的に日本経済のGDPの55%を支えている家計の支出へと大きな影響をもたらすことだろう。



「無駄を省いて財源にする」というのも愚策である。
上述したように、国債によって経済の規模を大きくしないと景気回復はありえないのである。
右の予算をもぎ取って左側に付けようが、最終的な支出が同じならば、
良くて100%の維持、悪くすれば経済効率は下がるのである。
くどい様だが、直接配布しても経済は回らないのである。GDPは増えないのである。
直接配布の場合は、その人達が配布されたお金を使うことで、初めて経済効果が生まれるのである。
その点、公共投資は最初から使う行為であるから、経済効果は確定している。
ちなみに公共投資による経済効果は、投入する金額の1.3倍になると言われている。
これは公共投資による直接の経済効果+その経済効果の波及による効果である。
例を上げれば、道路工事をすると労働者は給料をもらう、その給料を使って何かを買う、買ってもらったお店の人が更に何かを買う・・・
という流れである。


そして何よりショッキングなニュースはコチラ

民主政権GDP 大和総研、試算 今年度、マイナス0・23ポイント 
8月21日7時56分配信 産経新聞 元ソースはコチラ

 ■来年度、プラス0・12ポイント

 大和総研は20日、30日投開票の衆院選で、民主党中心の政権が成立した場合の実質GDP(国内総生産)成長率への影響について、平成21年度がマイナス0・23ポイント、22年度がプラス0・12ポイントとする試算をまとめた。

 公共投資削減が景気を押し下げる一方、「子ども手当」支給で個人消費が景気を押し上げる効果があると見込む。ただ、「政権運営によっては景気が落ち込む可能性もある」(熊谷亮丸シニアエコノミスト)との懸念も浮上している。

 試算は、現在の自民党政権の経済対策による日本経済への影響と、民主党が現行の経済対策を組み替え、マニフェスト政権公約)を実施した場合の影響を合わせた。

 民主党が勝利した場合、公共投資が削減され、21年度に0・27ポイント、22年度に0・14ポイント、GDPを押し下げる。一方、月額2万6000円の子ども手当などで生まれる個人消費は、21年度に0・04ポイント、22年度に0・22ポイントの押し上げ効果があるという。

 民主党マニフェストの中で、政府に国会議員約100人を配置し、政策の立案や決定を行う方針を打ち出している。熊谷氏は「民主党がどの程度官僚を使いこなせるかが(政策が実現するかどうかの)ポイントだが、実際の政権運営をみてみないと分からない」とも指摘している。

 また、野村証券金融経済研究所が7月に発表したGDP成長率押し上げ効果は22年度が0・1ポイント、23年度が0・4ポイントだった。

自民党の経済対策ではGDP年率3.7%増だったのに対して、民主党の政策ではマイナスに転じるという分析なのだ。
ただでさえ景気が悪いのに、さらに悪くしてどうするつもりだ?


これが私が民主党を支持しない理由である。
もし奇跡的に民主党政権でも景気回復するとしたら、それは自民党の政策をそのまま踏襲した場合であるが、
それじゃあ政権交代するだけ無駄ってもんだよ。


つうわけで、このエントリーを書くのに4日をかけました。さすがニート、暇人である。
でも相応の力作だと思うから、全部読んでもらいたいし、
ここまで読んでくれた人は本当にありがとう。
ではでは。