花とアリス

感動の嵐だった今日この頃如何御過しでしょうか?今日はしがない爺です。

花とアリス
岩井俊二監督は大好きで、その映像美にいつも感動するばかりです。

若さから溢れ出る痛々しいほどのエネルギーが詰まった美しい作品でした。
全編をクラシック調のBGMが彩り、時には音楽の持つエネルギーを全面に出し、また時には背景のように映像に寄り添ってみずみずしい世界を形作っているわけです。
蒼井優鈴木杏は、可愛さや美しさや普通さがギリギリのバランスでかもし出されていて、それを追うカメラワークはほとんどの場面でその情景を客観的に映し出します。無機質な客観性ではなく、元々そこに存在した何かの視線を借りたようなカメラワークは、見ていた私にその場に居ながら何気なく眺めているような、そんな物語の普通感を与えてくれます。
最後のそれぞれの見せ場では、鈴木杏には客観性を捨て彼女と彼女の視界の世界だけを切り取った場面を構築するように組み立てられていて、蒼井優にはその場面に登場して見ているかのように思わせるように丁寧に美しく繊細にその動きを切り取っています。

出演している俳優も、そこに居るのが当然であるかのような普通感を漂わせ、主張しすぎない自然な世界が展開されているわけです。

ハッピーエンドがスタートラインだと感じさせられるような終わり方も、観客が見終わった後の清々しさと幸福感を増幅させてくれます。

とても素晴らしい。

邦画大好きな私としては、とっても大満足で非常にお勧めです。