The有頂天ホテル

映画エントリーの2つ目ですね.いや〜,見に行ってなかったんですよ.つうか最近は映画もビデオもほとんど見てないんだなぁ・・・.
まぁ,そんな前振りはさて置いて,見てまいりましたよ.

<The有頂天ホテル
ざっくりとストーリー紹介をすると,大晦日の老舗ホテルに起こるドタバタ劇.

やはり三谷作品のコメディーは素晴らしい.
見た後に爽やかな気分になれる.

私が思うに,コメディーの大切な要素として,人間の小ささ,が有ると思う.
どんな人間でも沢山の未熟な人間性を持っていて,その壷をくすぐられるから面白いんだと思う.
テレビのバラエティーのように勢いだけで笑わせようとしても,映画では笑えない.
人間の数々の欠点を,それぞれの登場人物に分担して割り振っている.全員に振り分けるのは,本当の人間のように欠点だらけにすると,登場人物の格好良さがまったくなくなってしまうからだとは思う.

以前,本で読んだのだが,関東と関西でお笑いの質が違うらしい.
関西のお笑いは,お約束の美学.吉本新喜劇などは典型で,必ず同じボケとズッコケが行なわれるが,そのお約束に安心して笑うことが出来る.
関東のお笑いは,ズレの美学.コントや漫才などにしても,ちょっとした相互のズレや違和感がどんどん膨れ上がっていく方法は,アンジャッシュのコントが典型かと思う.ニヤリとする笑い.

三谷作品はどちらかと言うと関西の笑いだ.
ズレがユキダルマ式に膨れ上がって,その課程が愉快でたまらない.

ある男は,別れた女房に見栄を張り.
ある男は,不倫をばらされると勘違いしキリキリ舞.
ある男は,生きることに疲れて流されている.
ある女は,不器用ながら一生懸命で.
ある女は,生きることに疲れている.
etc,etc,etc......

そんな彼らが一生懸命なのは,明日になれば新年になって新しい毎日が始るから・・・.
一年の厄を全て振り切るかの如く,突き抜けていく.

まぁコメディーなんでハッピーエンドと相場は決まっていますので,広げた風呂敷の回収をし始める終盤の始まりの辺りは,若干の冗長感を感じますが,それは他の三谷作品でも同様に感じられることで,
三谷作品の映画でもドラマでも終息間際の冗長感は有りますね.
ま,個人的見解としては三谷さんは舞台出身の人ですから,映像空間での時間の流れと舞台上での時間の流れの違いなのかなぁと,思ったりもしています.

そんな訳で,お勧め度合いは70点.
まぁ万人受けして誰でも安心して見れると思うし,面白い.
若干気になる部分は,あえて映画館で見る必要性があるか?だと思う.笑いのツボは人それぞれ違うから,自分が笑わない所で他の客が大笑いしているのは,ちょっとうるさく感じる.
ビデオで家で見ても良いかなぁ・・・って気になってしまいました.

そんな感じで.